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パタヤの顛末(その3)

※パタヤの顛末(その1)(その2)からお読みください※

機内では、既に連絡が入っていたらしく、ママとダーリンには別の座席が用意されていた。カーテンが締め切られ、様子が分からない。ときどきダーリンがわたしたちのところへ報告に来てくれるが、ママはどんどん弱っているらしい。ダーリンも疲れきっている。
「早く成田へ……」募る焦燥感を抱えた機内時間は長かった。
ようやく成田に到着すると、ここでも連絡が入っていたらしく「救急車を手配している。別途出口から向かうように」と指示される。ママは、もはや立つことすら出来ず車椅子に乗る。それを押すダーリン、荷物を担いで追いかけるわたしたち。
ところが、救急車へ着く前に、ママが「ダメ……」と訴える。慌ててトイレを探して駆け込み、まずは吐かせる。が、ママは力の入らない手で、ズボンのボタンを外そうとしている。まずい、シモに来たか? さすがに躊躇したわたしたちは、女子トイレの外でオロオロしているダーリンに叫ぶ。
「ダーリン! ママが大変! 誰もいないから早く来て!!」
駆け込んできたダーリンがママのズボンを降ろし、なんとかしようと抱きかかえている。わたしたちは、次々と濡らしたハンドペーパーをダーリンに手渡す。
どうやら、シモは間に合わなかったらしい。それでも、ダーリンは濡らしたハンドペーパーでママの顔と体を拭い、再びズボンをあげる。
そして、ダーリンはためらうことなく吐瀉物と汚物にまみれたママを「お姫さま抱き」にして、車椅子へと走った。小柄で細身で華奢、どちらかというと頼り無い感じのダーリンが……。わたしは、その後ろ姿をある種の感動を持って見た。
ハッと我にかえり、あわてて追いかけ、ダーリンとママの荷物を救急車に乗り込むダーリンに手渡す。別れの言葉もそこそこにダーリンとママを乗せた救急車は、病院へと向かって行った。
わたしたちは、遠ざかる赤い光を声もなく見送った。
力なくさっきのトイレへ戻り、散らかしたハンドペーパーを捨て、無言で何度も手を洗い、互いに写真を送りあう約束をして、心配と不安を抱えたまま帰宅した。
……つづく
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by sally_brown | 2004-12-21 00:00 | おともだち

a warm puppy, knowing who you are, being glad you're you.


by sally_brown(さり)