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「ねずみの騎士 デスペローの物語」

a0019386_22401685.jpg「ねずみの騎士 デスペローの物語」ケイト・ディカミロ

ヒトコトで表現すれば「容赦ない物語」である。
ここに登場するすべての存在を情け容赦なく照らし、その光と影を強く浮かび上がらせる。
読みながら幾度も「ホントに児童書?」と思ったほどだ。

主人公であるデスペローをはじめとして、可愛らしいお姫さま、お妃様、お妃と娘を愛する王様、コック、召し使い、はつかねずみたち、どぶねずみたち、地下牢番人、町に住む人々……。
誰ひとりとして、まったき存在ではない。
善意、悪意、裏切り、勇気、情け、へつらい、自己愛、傲慢、思い込み……あらゆる感情を、そのまま持ち合わせているのだ。そして、それが『真実の姿である』ことから目を逸らさせまいとする。
ファンタジックないわゆるハッピーエンドを期待してはいけない。
読了した時、わたしは恐ろしかった。ここに書かれている『真実』が『現実』であることに……。
和訳の際、児童向けを意識し過ぎたように思える。やわらかな語り口で、この『毒』が相殺されてしまっているように感じるのが、残念である。
汚れてしまった大人こそ、この作者のメッセージが理解できるのではないかと思った。

お気に入りは、粋な悟りの糸まき長。
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by sally_brown | 2006-01-22 23:00 | ほんのきおく | Comments(0)