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なくしてしまった大切な何か

わたしには、ずっとたいせつにしているある紙がある。
現在、活動を封印ししている第三舞台 の「朝日のような夕日をつれて '97」の際、座席に配付されていた作・演出の鴻上尚史氏の「ごあいさつ」である。

この「朝日のような夕日をつれて」は、1981年に第三舞台の旗揚げとして公演されてから、第三舞台の代表作ともいえる作品。
第三舞台の公演は、どれもイチベルが鳴るまでの間、客席にはRCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」が流され、客席にはその他の舞台リーフレットとともに、鴻上尚史氏の「ごあいさつ」が置かれていた。
ごく普通のノートに直筆で書かれた「ごあいさつ」のコピー。
それは彼の風貌そのままのまるっこい文字で、なんとも愛嬌がある。

わたしの手もとにある「朝日のような夕日をつれて '97」の「ごあいさつ」は、こころに響くものがある。あれ以来、辛い時悲しい時、なんども繰り返し読んでは、書かれた言葉を噛み締める。
ここに全文を引用することはできないが、一部をご紹介したい。

たとえばあなたがいくつであろうとも、ある時、自分は大切な何かをなくしてしまったと思う時があるでしょう。
……中略……
いったい、大切な何をなくしたのか。
たとえば、それは、空が青いというただそれだけで涙を流した感覚だったり、
……中略……
僕達は、大切な何かをなくしたという感覚にはとても敏感です。が、大切な何かを得たはずだという感覚には、ひどく、鈍感です。
……中略……
けれど、あなたは、子供の頃、空が青いというだけで涙を流したという記憶を手に入れたのです。
……中略……
かつて、青空を見て涙を流したという記憶は、僕達を豊かにします。
……中略……
生きているということは、何かをなくしたぶんだけ、確実に何かを手に入れるということなのです。
だた、僕達は、そのことにひどく鈍感なだけです。
……中略、以下作品について、役者についての感想が続きます……
僕は、この作品を書いて演劇を始めた時から、何をなくして、何を手に入れたかを考えています。
あなたは、何をなくしましたか。
そして、何を手に入れましたか。

今日はどうもありがとう。ごゆっくりごらん下さい。
                んじゃ、鴻上尚史


全文を引用できないのが、もどかしい。
伝わるでしょうか? このこころのど真ん中にまっすぐじんわりと突き刺さる言葉。
淡々と彼は「なくしてしまったもの、そして手に入れたもの」を説く。
この「ごあいさつ」の紙は、わたしの宝物なのだ。

しあわせは、なくしてしまったもの、そして手に入れたもの。
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by sally_brown | 2005-06-04 14:03 | さりせるふ

a warm puppy, knowing who you are, being glad you're you.


by sally_brown(さり)