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カテゴリ:おともだち( 12 )

パタヤの顛末(その2)

パタヤの顛末(その1)からお読みください※

さて、楽しいパタヤ滞在も終わり……。パタヤからバンコクまで、猛スピードで走るマイクロバスに揺られる。みな、疲れが出て居眠りしているが、ふと気づくと最後尾席のママの様子がおかしい。脂汗をにじませ、口を押さえ、真っ青な顔をしている。ダーリンは隣で口を開け眠っている。
「ママ? どうしたの?」という問いかけにも、何も言えず弱々しく首を振るだけ。
これはただ事ではない。非常事態をソムに知らせ、車を止めてもらう。よろめきながら車外に出たママは、即座にしゃがみ込み大量に吐いた。泣きながら、何度も何度も。
ソム、わたし、Sちゃん、Yちゃんは、顔を見合わせ凍り付いた……これは大変だ。
ママの異常事態に気づかず、いまだ車内で眠りこけているダーリンを叩き起こし問いつめる。
「ママがおかしい。何を食べた?」
しかし、ダーリンは「ずっとみんなと同じだったし、昨日だって二人とも同じものをシェアして食べた。歯磨き後のうがいにも、ミネラルウォーターを使っていたし」と不安顔で首を傾げる。
とりあえず再び車に乗り込み、一路バンコクを目指す。途中、何度も緊急停車しては、ママは吐く。更に悪いことにシモにも来ているらしい。そんなときは、全員で上着を広げて後ろ向きで円陣を組んで、ママを隠した。
(タイのみなさん、本当にごめんなさい。旅の恥をかき捨ててきてしまいました)
そんななか、突然ダーリンが声を上げた。
「あ!! 昨日夜にプールサイドバーで違うものを頼んだ。僕はビールだった。彼女はすっかりはしゃいで、パイナップルが容器になった花飾りのあるトロピカルカクテルを頼んだ……」
それだ! そのカクテルの氷だ!
全員が暗胆たる思いで、みるみる弱っていくママを見守る。
なんということか……プールサイドバーでのひとときは、この旅でママにとって最もロマンティックで素敵で思い出に残る時間だったはずなのに。

そうして予定外の時間を取ったので、そうでなくても飛ばし屋ばかりのタイの道路を、猛スピードで飛ばしに飛ばしてバンコク空港へ到着。搭乗時刻ギリギリだった。
もう一人では歩けないほど弱ったママを抱えて搭乗手続きをするダーリン。彼らの荷物を替わりに担ぎ、バタバタとそれに続くわたしたち。
振り返ると、遠くでゲートの柵を握りしめ、心配のあまり泣きそうな顔のソムがいた。
嗚呼、ソムともお別れだ。
彼がつきっきりで面倒を見てくれたので「サワディー・カー(オールマイティな挨拶語)」と「コップン・カー(ありがとう)」のふたつのタイ語だけで、楽しく過ごせたのだ。
わたしは、前夜に彼のお陰で使わずじまいになったガイドブックを引っくり返して覚えた、みっつめのタイ語を叫んだ。

「ソム! ラーコン・カー!」  さようなら!

その一瞬、ソムはパッと明るく笑ってくれた。そして、すぐにもっと泣きそうな顔をした。
たぶん、本当に泣いていたと思う。「ソム、コップン・カー」わたしも、泣きそうになりながら小さくつぶやいて、振り返る勇気もなく搭乗した。
……つづく
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by sally_brown | 2004-12-20 00:00 | おともだち

パタヤの顛末(その1)

ずっと以前勤めていた広告代理店は、課ごとに交代して夏休みを調整していた。その年、特別な計画もなかったわたしは9月下旬にとりあえず夏休み申請した。
が、夏休みまであと1週間ちょっとと迫ったある日、社用の外出でふと通りがかった旅行代理店の店頭パンフレットを見て、突如「海外旅行」を思い立ち、いきなり入店。
「今から間に合うツアーありますか? ひとりなんですけど」
窓口のお姉さんは半分目が点になりつつ
「ど、ど、どのあたりがよろしいですか? しかし、おひとり様だと決まっているツアーに便乗する形になりますから、限られますが……」と困り顔。
「あんまり飛行機に長く乗らない近所がイイです」
近所って……、困惑しながらお姉さんはコンピュータをピコピコ。
「あ、これなら大丈夫じゃないでしょうか? タイのパタヤですけど」
「タイ?パタヤ?」……タイにもパタヤについてもまるで事前知識のないまま、
「じゃ、それで」と即決。
「ご一緒のお客様も、駆け込みでお決めになられた新婚様ですので、おそらくキャンセルはないと思いますよ」とお姉さん。
わたしは、見ず知らずの新婚さんが破局しないことを祈った。

幸い、破局はなかった。無事バンコクに到着し、ツアー現地ガイドを探す。
すると、そこに集まっていたのは「例の新婚カップル」「若い女の子二人組」「わたし」のなんと5人、全員が駆け込み申し込み。ソムという名の現地ガイドも「フダンハ、フタリグミバカリネ。コンカイハ、スゴイオオニンズウネ」とびっくり。
「新婚カップル」はアツアツかと思いきや、同棲6年の末に入籍した記念旅行というお友達的夫婦。女の子たちは季節ごとに海外へ行くというフレンドリーなふたり。それに女ひとり参加で最も年長者の私。すっかり意気投合した5人は、ダーリン、ママ、Sちゃん、Yちゃん、オネエサン(これはわたし)と呼び合い、コー・ラン行きやパタヤ特有の豪華オカマショーなどオプショナルツアーも全員で参加し、ほぼ団体行動となった。
現地ガイドのソムもすっかり仲間だ。本来は業務外であるはずの自由時間に「ニホンジンデモダイジョブナミセ、アンナイスルネ」といって屋台巡りなどに付き合ってくれた。

さすがに最終日だけは、それぞれ自由行動。
ダーリンとママは、恋人当初のようなアツアツぶりを発揮して、どこかへ出掛けて行った。
SちゃんとYちゃんは、勇み立ってショッピングに向かった。
わたしは、持参した文庫本を手にプールサイドでぼんやりしていた。
そこへ、ソムがやってきて「シュリンプノ、オイシイミセアルヨ。イッショニランチドウカ?」
彼は、気遣ってくれているのだ。もちろん一緒にでっかい海老を食べ、いろんな話をし楽しく時間を過ごした。買い物にも付き合ってくれた。写真を送って欲しいと、バンコクの住所も教えてくれた。

……つづく
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by sally_brown | 2004-12-19 00:00 | おともだち | Comments(0)