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リング・ワールドの玉座/ラリイ・ニーヴン

リング・ワールドの玉座/ラリイ・ニーヴン_a0019386_13251584.jpgリング・ワールドの玉座/ラリイ・ニーヴン

なんとも壮大かつ破天荒なサイエンスファンタジーである。
この前編「リング・ワールド」「リング・ワールドふたたび」を読んだのがかなり前だったので、独特の世界観に慣れるまで、しばし時間がかかってしまった。
中心に太陽を抱き、自転することで重力を得ている、宇宙に浮かぶ高度文明の構造物“リング・ワールド”ーー地球の300万倍もの面積を持つこの世界には、さまざまな異種族が群雄割拠している。

第3部となる「玉座」では、異性を誘惑する香りを放つヴァンパイアたちとの、果てしない戦いが描かれている。そこへ、出身族の保護だけを使命とするプロテクターが絡み、ストーリーは思わぬ方向へと収束していくのだ。なかなかどうして一筋縄ではいかないニーヴンの伏線が興味深い。
それにしても、この世界の人(?)のネーミングには、いつもながら感心させられる。
カワレスクセンジャジョク、ハーカビーパロリン、ヴァラヴァージリン、ルーバラブル……覚えてしまった自分が恐いくらいである。
異種属たちのネーミングも素晴らしいセンス。<機械人種>マシン・ピープル、<屍肉食い>グール、<球体人種>ボール・ピープル、<赤い牧人>レッド・ハーダーなどなど。
彼等の姿形は読む人の想像次第だ。

ファンタジー小説は、サイエンスものも魔法ものも総じて、実人生の裏返しであるといえる。価値観の異なるもの同士が如何に共存するか、また如何に相手を読み対処するか、そしてなによりもアイデンティティの発見につながるのである。
この「リング・ワールド」も然り、大好きなシリーズ「魔法の国ザンス」や「ランドオーヴァー」も同様である。混沌に思える世界に一定の秩序を見いだした時、そこに存在しうる自分のアイデンティティが確立されるのである。

もう一度、最初から「リング・ワールド」にどっぷり浸かってみるのも一興かもしれない。

お気に入りは、非常識なほど大胆な最強の臆病者、パペッティア人のネサス。
by sally_brown | 2006-03-25 13:26 | ほんのきおく

a warm puppy, knowing who you are, being glad you're you.


by sally_brown(さり)